「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

蜘蛛

蜘蛛を殺した


私の右腕にふわりと落ちて来なければ良かったのに


目立たぬ所でなら、ひっそりと生き抜けた


容姿の異形で人に嫌われる


足を広げれば多分、私の掌と変わらない大きさの蜘蛛


私は少し怯えながら慌てて薬を吹きかけた


何の悪さをする訳でも無い生き物に




さっと物陰に隠れたから、もう来ないと思った


どうして出て来たの


お前を待つ私の目の前に現れたら


殺してしまうのに


弱々しい足取りで、光を求めて這っていた




私は再び薬を吹きかけた


動かなくなるまで、蜘蛛を見ていた


痙攣し、それでも明るい場所へゆこうと、のたうつ様を


静かに足が硬直し、固まって亡骸になるまで


じっと見ていた