「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

幻影

あなたの からだ しなやかに すいつく はだ からんで おちる かみ ほどけない ゆび はみだす きもち むさぼって もとめたけれど なかみは から

徒歩

少し頭を傾げながら 独りで 正気と狂気の境目を 歩いている 踏み外せば ストンと闇に落ちる 何も見えなくなる聞こえなくなる それが怖いから 爪先で探りながら まだ明るい、まだ大丈夫と 自分に言い聞かせて歩いている 時々立ち止まっている 常に踏み出す足…

罵倒

吐いた言葉が 毒色になって散らばる 誰かの急所をめがけて 直線で飛ぶ刃に成る 居所の無い身体と、行き場の無い魂が 激しく軋んで、汚い血を搾り出す どこにも、なにもないのよ どこにも、だれもいないの 唇を錆びた針で縫ってしまいなさい 毒を吐くのなら、…

岩石

黙ってそこに在るだけの 石に成りたい 地面から切り離され 引力のまま 地球にくっ付いている 何もせず 何もされず 転がっている 石に成りたい

天使

私の天使が眠る時間 私は起きている 眼が冴えている 眼の裏側で涙を流している 夢の中ですら指さえ触れ合えない 抱きしめる事が出来ない 私の天使 見守られている けれど、時々見放されている 天使が眠っている時間 私はほったらかしにされている 独りで世界…

誕生

その人は鷹の目 本能の視線で 刹那よりも素早く 被写体を空間ごと、切れ味鋭く捕まえる その人は小鳥の目 直感は鮮やかに 色彩と、流線と、陰影で 人の、物の、景色の、表情を 細密画の繊細で写す 優しく厳しく情熱的で素直で温かい生きる喜びを楽しみ死ぬ事…