「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

徒歩

少し頭を傾げながら


独りで


正気と狂気の境目を


歩いている


踏み外せば


ストンと闇に落ちる


何も見えなくなる聞こえなくなる


それが怖いから


爪先で探りながら


まだ明るい、まだ大丈夫と


自分に言い聞かせて歩いている


時々立ち止まっている


常に踏み出す足の際に


落とし穴の入り口が用意されている


そんな不条理を


抱え込んで途方に暮れる


そう


きっと自業自得


選択したのは自分


誰のせいでも無い


何かを憎んでも疲れるだけ


言い訳は過去に通用しない





少し頭を傾げながら


私は歩いている


何故、歩くのかわからない


でも歩いている


生きている