「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

折紙

なにもかもが上手くいく事など そうそう無いと、わかっていても 折っては ひらき折っては ひらき 筋ばかりが幾重にも付いて どれが本当だか、わかりゃしない お母さん これはどう折るの? 手引書を見てもわからないの 教えて 母の指先は静かに動き 正確な角…

飴玉

薄荷 発火 口の中で冷たい炎をあげた そして 薄化 薄情な味は束の間の恋に似て 跡形も無く消えた

貪欲

骨格は変えられない 筋肉はデザインが出来る 脂肪はコントロール 内蔵は整えて 肌は手入れを 化粧は技術を訓練 洋服は肩で着こなすのだと教え込まれた 和服は腰で着流す 装飾品はセンスを試される 女は手抜きをすると 瞬く間に朽ちてゆく 時間に追い付き、追…

六月

激しく降った雨に たたき落とされた紫陽花は アスファルトに咲く 公園の鉄棒下の水溜まりでは 小雀達 水浴びの順番を待つ かたつむりは もう何年も姿を見せない 赤い雨靴を光らせながら 子供が草を走る 空気が濡れている 雲が駆けて行く 空が急いで青くなる …

継続

私は人が好き だって、人間だもの だから 愛し続けます 人を 諦めません

数字

「量より質」だと思いながら 「質より量」を求めてしまう 数字をそばに置きたくない なのに、数にまんまと騙されて 色んな単位を換算しては 計算が出来なくて、お手上げ 数の魔法は好きなのに どうやら数字に嫌われているらしい 生まれ変わらないと 数学を理…

懐古

そこは知の倉庫だった私が育った街に凛とあった小さな本屋足元から天井までが本で埋め尽くされた壁面立て込んだ書架の為に、客同士が肩をよけながらすり抜けた通路私はその本屋で自分の好奇心を広げていった刺激されたそして、その場所を愛した 階段の赤いカ…

細胞

硝子の球体 に、閉じ込めている思いを一つ取り出す為に 潰す 私は指先に少し傷をつける 血が滲む 硝子は薄くて、脆くて、でも硬くて 怪我をしないと、中のものを出せない理不尽 包み隠している様で、透き通って見える思い 壊すと痛い でも壊さずにいられない…