「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

2019-01-01から1年間の記事一覧

物語

遊ぼ? 遊ぼう。 色彩の妖精は語らない 硝子の向こう側から 言葉の魔法使いに絵をそっと見せる 魔法使いは皆を集め その絵の物語を語り出す 私達はニコニコしてそれを聞く もっとお話しして もっとお話しして 今日はここまで 魔法使いも又 硝子の向こう側に…

夜会

ドアを閉める エンジンを掛ける ヘッドライトを点ける 外は車を叩き付ける雨 ワイパーを斥候に 夜を切り裂き滑り出す 高速道路、LEDのシャンデリア 見送り乍ら 万華鏡のアスファルトには 方向を失った水滴が踊り狂う 見惚れてはいけない 前を急ぐトラックが…

晴着

正月の結界が解かれ ほんの少し雰囲気だけ残って居た ハレは仕舞い込まれた 未だ暖かさを何処かに探すには 表は寒く ケを襟巻きして耐えて居る 何処に行ってしまったのだろう あのワクワクしたお正月 晴着を纏うのが待ち遠しかった 子供の頃 褪せていく行事 …

捜索

記憶はスプーンで抉り取られた 残っている方が少ない その方が幸せかも知れない 嘘 思い出せない記憶に未練タラタラ あれも無いこれも無いと 頭の中を引っ掻き回している 実は最初から無かったのかも知れ無いと 自分を説得してみるけれど納得し無い 記憶と記…

椅子

真夜中の時計の音を聞きながら 後、どれほど数えたら朝が来るかと考える 美しいものを想像したり 優しい出来事を思い出したり そんな事は無理だと判っているから 深呼吸して時が過ぎるのを待つ 指先が悴む 猫が鳴いている 冬の太陽の微かな匂い 少し乾いた喉…