2019-01-18 椅子 真夜中の時計の音を聞きながら 後、どれほど数えたら朝が来るかと考える 美しいものを想像したり 優しい出来事を思い出したり そんな事は無理だと判っているから 深呼吸して時が過ぎるのを待つ 指先が悴む 猫が鳴いている 冬の太陽の微かな匂い 少し乾いた喉 閉ざそうとしても開いてしまう瞼 五感はチグハグ 憂鬱とは脳の中だけを蹂躙するのでは無い 全ての感覚を麻痺させ奪う それを実感するのは夜 どんな薬も効かない闇の栖と化した城で 不眠の主と成り せめて座り心地良く誂えた椅子に片肘付いて 静けさを弄ぶ 逃げ場所は 何処にも無いのだから