「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

迷路

横目で見遣ったら、そこには混沌 萎縮した意識の外に放ったらかしの無意識 自我はさっきから水蜜桃を齧っている 他者の視線は混線し ナイフは出番を待ち伏せる 飛んでいるのはインク壷 追いかけるペンは日記から逃げ出す 赤い月が笑うから 白兎は泣いた 憂鬱…

殺伐

抱いて 私の背負う罪の重さを受け止める力が有るなら 証明してみせて 私の腕を掴んで放さない死神ごといたぶれるなら この身体を好きにして 時間が無い その時が来たら崩れてしまう 誰にも見つからなくなってしまう 抱いて 背骨が仰け反って折れる程 私を抱…

色彩

私は廃墟 熱帯のジャングルの 緑が秘めた古人の熱が 砕けきれずに眠る場所 私は羽根 空を映して青を閉じ込めた 湖の上をすべり抜ける鳥の幻 色彩に彷徨う魂は あらゆるものに形を変えて 静かに虚空を見詰める 光が約束した魔法 目を閉じても、夢の中でも 呪…

目印

行き交う 人 行き交う 流れる 時 流れる 戻らないものばかりを追いかけて 今を見失ってしまう 欲しいものと必要なものの区別がつかない 蜃気楼へ続く道は溺れている 夢 目覚めたら終わるだけ 今日も枕は濡れている

蜘蛛

蜘蛛を殺した 私の右腕にふわりと落ちて来なければ良かったのに 目立たぬ所でなら、ひっそりと生き抜けた 容姿の異形で人に嫌われる 足を広げれば多分、私の掌と変わらない大きさの蜘蛛 私は少し怯えながら慌てて薬を吹きかけた 何の悪さをする訳でも無い生…