本音
気持ちの良い五月の夜
美味しい食事を終えた後で
会話して居た相手から
「私はあなたの言葉で
殴られ続けている」
と、告白された
アルコールで滑らかになった舌は
本音を吐き出したのだろう
一瞬にして私が触れる周りの景色が凍った
暴力に嬲られて育った私は
いつしか
他者へ平気で暴力を振るう事に
慣れてしまったらしい
反省?
今迄無責任に巻き散らした
言葉の回収など出来はしない
一度放った言葉が付けた傷は
治す手立てが無い
無数の深い傷を抱える自分が良く知っている
これからは
簡単に会話が出来ない
一つ一つ言葉を選んで
相手の表情を確かめながら
傷を付け無い様に慎重に
否
他者を傷つけ無い一番の方法は
私が沈黙する事
其れ以外には無い
意味の無い言葉を振り撒いて
悦に入っていた罰が当たった