「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

足跡

咲き初めた水仙


立ちすくんでいる


蕾の間にまで、雪をたくわえて


静かに


雪明かりでぼんやり淡い寒空は


人の暮らしに寄り添う様々な色を隠す


真っ白な闇は音を吸い取って


密やかに固まった




振り向いて足跡を見遣ると


心細い形


雪が降れば消えてしまう


雪が溶けても消えてしまう


でもなぜか、ポクリ、ポクリと歩いては


何度もその形を確かめてしまう


少しだけ、自分の痕跡を残して


白い息を吐きながら日常の中へ


小さな未練を抱きつつ、暖かい部屋に戻った


冬の隙間の小さな出来事