2008-07-02 初夏 熱帯夜の予告で開けた朝 窓際で鳴く蝉に目が覚めた 今年初めての声 場違いの恋唄 肌にじわりと暑さがにじり寄る 群れてなく蝉ならば それは風景にもなるだろう けれど、たった一匹の その身を搾る様な鳴き声は 何処にもとけ込まずに 初夏の朝をかきむしる 暗い地中を長く生き抜いた命の強さを誇っているのか それとも変わりたての身体に仕組まれた 短い余生を憂いているのか 思いを巡らす束の間に 耳鳴りの様な余韻を残し 蝉は飛び去った 小さな緊張からほどかれ 起き上がりもしないまま 私は再び眼を閉じた