「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

痛覚

痛みは、はかれない


最先端の機器を使えば


数字や、グラフや、色で


示されるらしいけれど


重さや、苦しさや、やり切れなさまで


表示はしない


人はミリグラム単位の毒で死ぬ


なのに釦くらいの鎮痛剤は役立たず


痛みを殺してくれない


痛みを嫌う思いをわかってはくれない


ただ、よこたわり対峙する


身体で、暴れるだけ暴れて


飽きた頃


痛みは去る


それを待つ


痛みは人を砕く


どんなに強く有ろうと願っても


自分の弱さを明らさまに見せつけられる


感覚の全てを失ってしまえばいいのに


けれど


本当は手放したく無い何もかもを


捨ててしまったならば


私は無慈悲になるだろう


そして、訪れるのは無情だけ