「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

痕跡

対峙する二人の私


互いの喉元に剃刀を突きつけ合って


動かない


目を逸らさない


声を出さない




「お前は誰だ」と


問うている


どちらも私


どちらも私では無い


否定も肯定も意味が無い




目を見開いたまま眠れ


沈黙が吐き出す鈍色の糸にくるまれて


歪な繭に成れ


時が全てを解決してくれる


そんなあどけない嘘を信じて蛹に成れ


外の世界を傷つけぬ様


孵化せぬままに


腐ってしまえ


跡形も残さず