「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

遺言

百足を殺した夜


左手の薬指が真っ赤に腫れた


断末魔の叫びの代わりに


私の利き手に渾身の力を込めて噛み付き


黒光りする虫は


悶絶の痛みを残して死んだ





痛かろう?
殺したお前が悪いのだ
生きているから痛いのだ
存分に生を味わえ





亡骸は小さく縮こまり


もう、動かない


故なく殺された虫の遺言は


夏の一晩を私に呻かせた