「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

徹夜

瞬きすら忘れて


手繰り寄せる様に朝に行き着いた


夜はその影をいつの間にか引き取っており


気が付いたら部屋は顔色を変えている


ただ、春の日差しが


ぽかんと窓の形に床へ落ちる


闇を閉じ込めていた場所に不釣り合いな光は


うろうろと居場所を求めるけれど


所在無さげに俯いて、輪郭を成さない影をそこかしこに散撒く




日付変更線なんて、そんなものは見た事が無い


暦をこの手で千切るまで


今日はずっと今日の筈なのに


自動的に、全てが更新され


留まるものを許さない


そして、取り残されたものを見捨て


勝手に誰かが明日を押し付ける




ずっと夜の中に居る為に


闇を追って旅立とうか


太陽に見つからぬ速度で


移動したならば


過去も、現在も、未来も


なくなってしまうだろうか




遠退きそうな意識の中で


雲の上にほっそりと傾く三日月を肩越しに眺めながら


彗星の様に夜空を滑る自分の姿を観た