2010-03-19 電車 線路をはみ出した電車が ガタガタと音を立てながら夕陽に向かって走って行く 誰かが待っているプラットホームを見向きもせずに 落ちようとする太陽を追い掛けている 客席には誰もいない 運転手もいない ただ、空っぽの四角い電車が一両で 走り慣れないアスファルトや畑の上を ガタガタと音を立てながら進んで行く 赤い車体を夕陽でいっそう赤くして 左右に揺れながら辿り着いたのは 川の終点 海の入り口 ガタガタと音を立てながら走って来た電車は 一度だけ浜で止まって そして海の中へと消えて行った 夕陽と一緒に