「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

電車

線路をはみ出した電車が


ガタガタと音を立てながら夕陽に向かって走って行く


誰かが待っているプラットホームを見向きもせずに


落ちようとする太陽を追い掛けている


客席には誰もいない  運転手もいない


ただ、空っぽの四角い電車が一両で


走り慣れないアスファルトや畑の上を


ガタガタと音を立てながら進んで行く


赤い車体を夕陽でいっそう赤くして


左右に揺れながら辿り着いたのは


川の終点 海の入り口


ガタガタと音を立てながら走って来た電車は


一度だけ浜で止まって


そして海の中へと消えて行った


夕陽と一緒に