「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

透明

蛇口を捻り

指先を水に預ける

シンクを叩く音は単調で

無慈悲に何処かへ流れ去る

指だけが残され冷えてゆく



液体と固体の狭間で揺らぐ

肉体は常に不完全で

完成を求める程、細胞は死に

その骸を弔い続ける

透明に憧れる悲愴



硝子のコップに水を注ぐ

冷えた指を震わせながら唇に運び

飲み込む透明

既に内包しているはずの

然し失わず得ないものを