2012-10-01 透明 蛇口を捻り指先を水に預けるシンクを叩く音は単調で無慈悲に何処かへ流れ去る指だけが残され冷えてゆく 液体と固体の狭間で揺らぐ肉体は常に不完全で完成を求める程、細胞は死にその骸を弔い続ける透明に憧れる悲愴 硝子のコップに水を注ぐ冷えた指を震わせながら唇に運び飲み込む透明既に内包しているはずの然し失わず得ないものを