「鏡の見る夢」

夢にまで見た夢は夢のまた夢

深夜

その女達は街灯の下に立たない


四つ辻に隠れるでも無く佇み


行き過ぎようとする男に声を掛ける


  「女遊びしませんか」


まるで市場に行った帰りの様な普段着で


知り合いと立ち話でもしている風に




ネオンを避けて暗がりの中


幾ばくかの稼ぎを得ようと


自分を伴って歩いてくれる男を待つ




夜を立ち続ける女達は


どんな影よりも深く


闇を呼吸している


それを知っている男達は言う


だから俺は


あの女達と接吻しないのだ、と


闇に閉じ込められたくは


無いのだと